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  • 不況からの脱出~業績が悪い会社に足りないものとは?

    「物が売れない」
    「価格を安くしないとダメだ」
    など、不況やデフレを嘆く経営者がいますが、私は経営者の甘えだと思います。

    全体を見ると、確かに不況ですし、デフレなのは間違いありません。

    しかし、全ての会社が不況とデフレの影響を受けているかと言えば、そうではありません。

    このご時世の中でも、商品を売り、価格競争にも巻き込まれず、高い収益を上げている会社はあるのです。

    ですから、不景気の会社が多かろうと、不況や価格競争に巻き込まれたのは、経営者の責任なのです。

    今回は、今の不況で多くの会社が業績が悪くなっている原因と抜本的な改善策について書きたいと思います。

     

    物が売れない理由とは?

    バブル経済が弾けて、日本の景気が一気に悪くなり、さらにリーマンショックの影響で、景気が一段と停滞しました。

    世間一般的には不況の原因をこのように解説していますが、もっと掘り下げると、消費者心理の変化も関係しています。

    高度成長期はなぜ物が売れたのか?

    高度成長期は、日本人の多くの割合を占める団塊世代の方が、子供を育てる時期だったため、必然的に消費が多くなる年代だっただけでなく、テレビや洗濯機、マイカーなどが発売され、物がなかった時代から物質的に豊かになっていく過程だったので、たくさんの商品が売れました。

    つまり、
    1、消費が多い世代の人口が多かった
    2、物質的に豊かになっていく段階だったので、新しい商品が売れた
    この2点が下支えしていた訳です。

    なぜ今は物が売れないのか?

    しかし、現在は比較的人口比率の多い団塊ジュニアと呼ばれる世代は、ちょうどバブルが弾け、就職がままならなかったばかりか、非正規雇用の影響で、将来の不安を感じ、結婚・出産ができなかったり、消費に回せるお金があまりありません。

    しかも、これが団塊ジュニア以下の世代まで続いています。

    さらに、現在は「物がない」という時代ではなく、物が溢れている状態になっています。

    多くのマーケティング手法がうまくいかない根本的な理由

    いろいろなマーケティング手法があります。

    優れたマーケティング手法で多少は売れるかもしれませんが、根本的にテレビを持っている人に「テレビ買いませんか?」と言っているのですから、たくさん売れるはずがないのです。

    なぜ格競争に巻き込まれた上、業績も悪くなっていくのか?

    物が売れないから値段を下げる→「安ければ買ってもいいか」と思った消費者が商品を購入する→また売上が下がってきたら値段を下げる…の繰り返しで、どんどん価格競争に巻き込まれていきます。

    元々、需要がないのに商品を売る訳ですから、たくさんの数を売ることはできませんし、価格を下げなければ、商品は売れません。

    不況の影響を受けている会社に足りないものとは?

    個人的に仕事・プライベートを通じて、たくさんの企業を見てきて、多くの企業に足りないものは「イノベーション」だと思います。

    経営の神様ドラッカーがイノベーションについて言及していましたが、正にドラッカーが言っていたイノベーションが足りないから、不況の影響を受けているのです。

    先程も例として書きましたが、テレビを持っている人にテレビを売ろうとしても、売れないのです。

    高度成長期は物質的に豊かになっていく過程の時代と書きましたが、高度成長期の頃は、カラーテレビや洗濯機、掃除機、(一般の人が買える)自動車などなど、たくさんのイノベーションがありました。

    イノベーションによって、新たな需要を創造することができたので、コモディティ化が起きず、価格競争にもならなかったのです。

    今、このイノベーションがある会社はどれほどあるでしょうか?

    ビジネスの利益は、付加価値を提供することによって生まれます。

    物が溢れている時代に、その人が持っている物を売るのに、どれほどの付加価値があるでしょうか?

    「お客様を大切にする」「接客は笑顔で」など、顧客を大事に扱うことに力を入れている会社もありますが、確かにお客様を大切にするということは大事です。

    また、プロモーションに力を入れて、商品の良さを理解してもらうというのも大事です。

    しかし、それは問題の本質を解決しようとしない表面的な方法であり、いくら顧客を大切にしたところで、付加価値を提供できなければ、お客様は別の会社に行ってしまいます。

    こんな表面的な方法で甘んじているから、不況の影響をまともに受けてしまうのです。

    冒頭で、「経営者の甘え」と書きましたが、これがその理由です。

     

    もう一度繰り返します。

    ビジネスの利益は、付加価値を提供することによって生まれます。

    ただ商品を提供することは付加価値ではありません。

    不況の影響を受けているという経営者の方は、「自分の会社はイノベーションがあるだろうか?」「そのイノベーションでお客様に付加価値を提供しているだろうか?」という2つを見つめ直してみてください。

     

    ※アマゾンは商品の提供のしかたで付加価値を付けています。

     

  • 経費削減の真逆の発想~あえて経費を多く掛けるという考え方

    様々な業界でコモディティ化が進み、多くの業界が価格競争に陥っている今、経費削減が声高に主張され、至る所で経費を削減しています。

    価格競争に打ち勝つため、利潤を高めるために正しい選択だと思われがちですが、必要なコストまで削減してしまったり、長期的視野が欠けていることに気付いていない会社が多いように感じています。

     

    会社の創業期は、まず利益を上げることが最重要課題となりますが、ある程度経営が安定した後は、利益を高めるという言わば「攻め」の要素の他に、経営を安定させるための「守り」の部分も必要になってきます。

    その「守り」の部分で大切になってくるのが、リスクマネージメントです。

    リスクマネージメントとは、言葉通り「危機管理」のことで、いかに危機を想定し、回避するかだけでなく、危機に対しての対処法まで描くことが必要です。

    人件費を多く掛けるという考え方

    さて本題に戻りますが、経費削減の真逆を行くあえて経費を多く掛けるについてですが、様々な分野で多く経費を掛けることでメリットを得ることができます。ちなみに、もちろん闇雲に経費を掛ければいいという意味ではありませんのでご注意を。

    例えば人件費ですが、非正規雇用が増えていますが、重要な職務を正社員で、それほど重要でない職務を非正規雇用で賄っている会社があります。

    一見とても合理的な判断のように見えますが、私はそうは思いません。

    非正規社員と正社員では、会社に対するロイヤリティが変わってきますし、モチベーションも変わってくるからです。

    「お金をもらってるんだから一生懸命働け」と思う経営者の方やマネージャーもいらっしゃるかもしれませんが、それは無理な話です。

    ナポレオン=ヒルの考えを引用すれば、等価ではないからです。

    人間は能力の違いがあるにせよ、与えられたものと等価の仕事をします。

    ですから、非正規社員というものを与えておきながら、正社員の働きを得ることができないのです。

    それは、味噌ラーメンの料金しか払わないのに、「チャーシューメンにしろ」と言ってるのと同じなのです。

    仕事だけでなく、非正規社員が思わぬトラブルを起こしてしまったニュースをテレビでよく見かけますが、これももしかしたら正社員で社員教育を徹底していたら防げていたかもしれないです。

    「非正規社員にも正社員並の社員教育をする」と思った方もいるかもしれません。確かに中にはそうやってくれる人もいるかもしれません。

    しかし、本質的には非正規社員に正社員並の教育というのは、先程の等価の法則が成り立ちません。

    ですから、根本的に無理なことをしようとしているのです。その無理を通すことで、さらに別の問題が発生する恐れもあります。

    最初から正社員で雇用し、人件費を多く掛けていれば、そのような無理をすることもないし、思わぬトラブルを回避できるかもしれないのです。

    専門の業者を使う

    別の例も出しましょう。専門業者についてです。

    専門の業者に頼らず、自社内で済ませようとする会社があります。

    確かに自社内でやった方が経費を抑えることができるでしょう。

    しかし、そうすることで弊害があることに、全く気付いていない会社も多いようです。

     

    自社内にノウハウを蓄積していて、専門業者に負けないほどのノウハウがあるのでしたら、自社内でやってもいいかと思いますが、それほどノウハウもないのに、経費を削減するために、自社内でやろうとするのはとても危険だと思います。

    このことについては、ケースバイケースですが、様々なデメリットがあります。

     

    例えば、ホームページを自社で制作している会社がありますが、ある程度詳しい社員でも、まずプロと同じレベルのものは作れません。

    そもそも、ホームページ作成のプロでさえ、しっかりとしたノウハウとスキルを持っている会社は一握りなのですから。

    それなのに、社員にホームページを作らせたことによって、本来得られるべきアクセスが得られず、機会損失が生じている可能性があるのです。

    もしかしたら、毎月10人の見込み客を失っているかもしれません。しかし、ノウハウがないばかりに、そのことにさえ気付くことができないのです。

     

    他にも、自社内で済ますことで、ノウハウがないために何らかのトラブルを引き起こす可能性があります。

    専門業者を使っていれば、トラブルが起こった際に対応してもらえますが、自社内で済ませた場合、社内でトラブルを解決しなくてはいけなくなります。

    この場合、専門業者は保険と一緒で、万が一の場合に対応してくれるという大きなメリットになる訳です。

     

     

    他にも様々な例がありますが、長くなるので、これくらいにしておきたいと思いますが、いくつか例を出すことで、なんとなくニュアンスは伝わったのではないかと思います。

    繰り返しますが、無駄な経費を掛けた方がいいという話ではなく、「経費削減」と経費を減らすことばかり考えるのは危険であり、適切に経費を使うことをおすすめしますということが言いたいのです。

    私自身も自社内でできることでしたが、専門業者を使っていたことで、トラブルに対応してもらい、とても助かった経験があります。

    確かに利益を高めるのは大切ですが、この経験から必要なものには経費を掛けておくことの重要性を学びました。

    独立してから、改めてサラリーマン時代のことを思い起こすと、必要な経費までケチっていた経営者が多かったように感じています。

    特に人件費に関しては、給料が安いばっかりに優秀な社員が辞めていくケースも多く見かけました。

    優秀な社員の流出は、短期的にも長期的にも会社にとって大きな痛手です。

    優秀な社員が残らない会社は、いつまで経っても苦労が多いですし、また経営も苦しい状態が続くでしょう。

    それもこれも、人件費を多くしていれば防げた問題なのです。

    今はその時代よりも、非正規雇用が増え、ますますそういった問題を抱える企業が増えているかと思います。

    バブルの崩壊と長引く不況のせいで、消費者ニーズが価格志向に大きく傾きました。

    しかし、だからといって価格競争だけしていては、その会社の将来は厳しいでしょう。

    そのためにも、人材の流出を防ぎ、ノウハウとスキルの蓄積が必要だと思います。

    どんなに優れた戦略でも、その戦略を実行できる優秀な社員がいなければ、実行できません。

     

    人件費の話ばかりになってしまいましたが、必要なところにはお金を掛けるだけでなく、必要ないと思っていたものをもう一度見直してみてはいかがでしょうか。

  • ビジネスでは、やっぱり“信用”が大切

    昔から「商売は信用第一」などと言われていますが、ビジネス、特に日本では信用があるか・ないかは非常に大切な要素だと思います。

    しかし、私自身は信用をそれほど重要視していません。

    一見矛盾したように感じるかもしれませんが、私は日頃からお客様に対して誠実に対応し、プロとしての仕事をしており、そうしていれば当然のように信用が得られるので、わざわざ信用について考える必要がないからです。

    私が特別という訳ではなく、大部分の方がお客様に対し誠実に接して、プロの仕事をしていて、当たり前だと感じていると思います。

    なのになぜ、今回わざわざ『信用が大切』という当たり前のテーマについて書くかと申しますと、世の中には信用を得られないようなことをして、それに気付いていない会社もあるからです。 

     

    よく企業理念などに「信用」などを掲げていたり、お客様に対して「信用」「誠実」などの言葉を使っている会社がありますが、大事なのは理念に掲げたり、お客様に対して話すことではなく、お客様から信用を得られるかどうかです。

    なぜならば、信用できる・できないは、会社が決めることではなく、お客様が決めることだからです。

    誠実な対応をしていないのに、「誠実」という言葉を使い、ますます信用をなくしている会社もあります。

    信用をなくす(されない)原因は大きく分けて2種類あります。

    お客様に接する態度

    約束(契約)を守らない、言ってることとやっていることが違う、言ってることがコロコロ変わるなど、お客様との接し方に誠実さがなければ、信用をなくします。

    言わば人間性の部分で信用できるかどうかです。

    ビジネスマンの前に社会人として当然のことですが、このようなことをしている会社も少なくありません。

    プロとしての仕事ができない

    プロのレベルの仕事ができるかどうかです。

    特にサービス業など、アマチュアレベルでお金を取っている会社は仕事面で信用してもらえません。

    つまり、仕事面で信用できるかどうかです。

     

    今回は当たり前のことばかりですが、つい先日契約違反をしておきながら悪びれる様子もない会社があり、自分の中での当たり前が、常に社会の当たり前ではないということを改めて感じさせられました。

    ご縁があって、この記事を読まれた方も今一度お客様にどのように接していて、どのように思われているか再確認されてみてはいかがでしょうか。

  • 社員が楽して伸びる会社、社員がいくらがんばっても伸びない会社

     いろいろな会社を見ていると、面白いように両極端な会社が存在します。

    社員が毎日与えられた業務を淡々とこなしているだけでどんどん伸びていく会社と、社員が毎日毎日必死になって営業をしてもどんどん業績が下がっていく会社があります。

    この2つの会社は一体どこが違うのでしょうか?

     楽して伸びる会社は戦略で業績を伸ばそうとするのに対して、がんばっても伸びない会社は戦術でなんとかしようとする会社が多いように感じます。

    もう少し具体的な話をすると、勝ち組と言われているユニクロは、典型的な楽して伸びる会社です。

    だから、現場で働いている店員が、一生懸命商品説明をしている姿を見たことがないはずです。

    これも誤解を与えるかもしれませんが、ユニクロの社員が怠慢だと言いたいのではなく、一生懸命接客する必要がないということです。

     ユニクロはマーケティング戦略がしっかりしているので、一生懸命接客しなくても商品が売れる仕組みが出来上がってるのです。

    それに比べて他のブランドは、商品説明をしたり一生懸命接客をして、なんとか店員の販売力で商品を販売しているので、戦術でなんとかしようとしているのです。

     この2つの会社を比較してみると、ユニクロの場合店員が一生懸命接客しなくても商品が売れるということは、「売れる」商品なので誰でも売上を上げるシステムなのです。

    一方、他のブランドは商品店員の販売力に頼るということは、そもそも「売れる」商品じゃない(売りにくい)ので販売力の高い店員ばかりじゃないと会社は伸びないのです。

    この2つの会社を比べて、どちらが安定して成長することができるでしょうか?

    「それなら販売力のある店員を集めればいいじゃないか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、社員教育や採用を厳選することである程度は改善するかもしれません。

    しかし、現実的に能力が高い社員ばかりにするのは不可能です。(これについて詳しく説明すると長くなるので、いずれ機会があればこのことについても書きたいと思います)

     これはアパレル業界に限らず、戦術に頼っている会社はたくさんあります。

    そういった会社は、ほぼ間違いなく業績がなかなか上がらないですし、社員への負担が大きいので離職率も高いはずです。

    業績がなかなか上がらないのに離職率も高ければ、会社を成長させることは厳しいでしょう。

    もしあなたの会社が戦術に頼っているのであれば、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。

  • 多くの中小企業に足りないこと

     多くの中小企業がなぜ成長できないのでしょうか?

    それは、中長期の戦略がない(または適切な戦略を作れない)からだと思います。

    ここ最近の不況の煽りを受けて、今の売上を確保しなければならないので、先のことまで考えられないという経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが、数年先までの戦略を立てていなければ、今の世の中成長は厳しいかと思います。

     何年後に会社をどういう風にしたいのか?目標と、それに対しての具体的なステップがなく、現在の延長線では、なかなか目標まで到達することはできません。

    目標を達成するために、どこまで緻密なステップを作ることができるか?この戦略がしっかりできている会社ほど数年後成長していることでしょう。

     例えば、あなたの会社がメーカーで5年後に業界でトップのシェアを獲得することを目標にしたとします。

    そのための戦略として、シェアを伸ばすために営業部の強化や新商品の開発をするだけでは足りないのです。

    トップシェアを獲得した場合にどれくらいの数の商品を生産しなければいけないかという生産能力も強化する必要がありますし、それに伴う物流機能、販売チャネルは既存のままでいいのか?さらに、消費者が問い合わせをするカスタマーセンターの対応の強化、トップシェアを維持していくために商品のライフサイクルの長期化・新商品の開発、コンプライアンスの強化、社員を増やさなければならない場合は、優秀なマネージャーの育成・採用、新たな支店が必要な場合は、どこにどれくらいの規模の支店にするのか?またそこの人員の確保や教育、支店レベルでの戦略、さらにはこれらの戦略をどうやって社員と共有していくかなどなど、挙げていけばキリがありません。

    このように戦略は緻密であれば緻密で具体性があるほど、目標を達成する可能性が高まります。

    ぜひもう一度、あなたの会社の戦略を見直してみてください。